昨年6月12日に49歳の若さで亡くなられたジャーナリストで弁護士の日隅一雄さんが昨年4月に岩波ブックレット(No.830)から出された「『主権者』は誰か」は原発事故からこの国の政治や民主主義を考え直す意味ではタイムリーな1冊でした。それに50ページ強と薄くて500円という手軽さもあったしね♪
昨年も色々な本を読んだけど心に残る1冊でした。熟読し過ぎてか外観ボロボロ?
(笑)
この本の中で日隅さんは現在の代表制民主主義下で私たち国民が主権者として立ち振る舞うことが出来る5つの条件として・・・
①自分たちのことについて判断するため、必要な情報を得られること。
②情報に基づき、市民が代表者としてふさわしいと考える人物に投票できること。
③国会で自由闊達な議論がおこなわれ、立法や政策に市民の意思が反映されること。
④法律を執行する行政を監視するシステムがあること。
⑤国民がみずから主権者として振る舞うための教育などがおこなわれること。
と、挙げていました。
もちろん、形式的には日本では保障されていることばかりです。
でもね、より深い意味で実質的に保障されているかと問えば疑問もあるわけです。
不十分なことってあるんです。
日本の民主主義だってまだまだ過渡期のものでしかありません。
だって国会や政治が機能不全に陥っている部分があるから故の現在の状況なんですしね。
そういった事柄をひとつひとつ検証しているのがこのテキストでした。
自民党安部政権が憲法改正(憲法改悪)を掲げて基本的人権を現行憲法より制限する方向性の憲法改正草案を用意している以上、今こそこういった平易な本が考える上でのレッスンとして大切な気がしています。
※「主権者」は誰か~原発事故から考える/日隅一雄著(岩波ブックレット)
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/27/6/2708300.html
福島原発事故後,市民に伝えられるべき情報の多くが隠され,誤った説明が繰り返され,国民不在の場で様々な基準が決められていった.なぜ,これほどまでに「主権者」である国民がないがしろにされたのか.政治家,官僚,メディア,専門家,そして東電などによる事故後の対応を振り返りながら,その構造的問題点を指摘する.
※文部省(1947年:中学1年生用社会科教科書) あたらしい憲法のはなし
http://www.aozora.gr.jp/cards/001128/files/43037_15804.html