ある時代の証言

ある時代の証言


5月10日に封切られた映画ですから、新聞広告によればアンコールで都内では7月下旬まで約二ヶ月の続映なんだそうです。
ヨン様の「大王四神記」放映で韓流スターブーム再燃であっても、こういった硬派に歴史をえぐるような映画には日本のオバサン達は殺到してなかったけどね。ブームは常に表層的なものだしね(苦笑)。

ここに1冊の自伝本があります。
当時、販売自粛された「光州CITY」の白竜の「誰のためでもない」(毎日新聞社・1999年)です。
白竜がファーストアルバムを録音中の1980年5月に「光州事件」は勃発しました。著書の中で彼は《あの事件の模様をいまでも思い出す。テレビに映し出された光景は事実のすべてではないのは先刻承知だ。だが、それにしても射撃を受け逃げまどう市民や後ろ手で路上に附せにされ、まるで物のように扱われる学生たち。そんな姿をニュースで目にしたとき、俺は全身の血が逆流するような激しい憤りを覚えた。義憤というのはああいった感情の爆発をいうのだろう。光州の街中でなぎ倒される彼ら彼女らは、自分の姿にも思えてならなかった》と素直に事件の衝撃を語っています。
しかしながら、ファーストアルバムが実質的に発売禁止にされた中で、自主製作で世に出したことで、反体制の象徴として祭り上げられそうな雰囲気にあったことへの本人の抵抗感の心情も《俺にはそういったイデオロギーや政治的な判断はつかない。けれど、人間が人間としての扱いを受けないまま一方的に殺されていくことにいちいち御託を並べる必要はないだろう》とか《「光州CITY」はぁくまで光州市民に対するラブソングだった。人々がそれまで営んできたであろう素朴な生活が、ある日突然踏みにじられた。そんな痛みを強いられた人たちへのラブソング。呆気なく死んでいった人たちへの鎮魂歌。何かの主張や運動のために歌うといった気持ちはまるでなかった》と、本の中では吐露されていて彼の当時の貴重な証言として読むだけの価値がありました。
ある時代の証言


そんな「光州事件」を描いた映画「光州5.18」も静岡県内では9月には沼津では公開予定なんだそうです。浜松にはシネコンが2つもあるのに、ちょっと悲しいよね。ある映画関係者によれば、「浜松の上映スケジュールも半年先まで殆どは東京で組まれてしまうんだよね」なんだそうです。
裏を返せば「こんな映画を上映しても浜松じゃ人は集まらん。商売にならん!」ってことなのかもね。配給会社の系列って問題もあるんだろうね。

【「光州5.18」公式サイト】http://www.may18.jp/
【白竜】http://www.hakuryu.com/hp/index.html


同じカテゴリー(本棚)の記事
冬休み読書
冬休み読書(2023-12-29 13:45)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

写真一覧をみる

削除
ある時代の証言
    コメント(0)