上々颱風は不思議なバンドです。
新宿「花園神社」境内ライヴは有名ですが、フェリーの船上、ドヤ街、盆踊り会場、死刑廃止を求める政治集会、離島、大道芸会場、養護学校、市場、漁港、公民館、闘牛場、埋立地、河川敷、駐車場、倉庫、テント、パレードの車上、浜、能楽殿、ダム、小学校の体育館、選手村に岩壁、老人ホームと、ホールやライヴスポットや様々な野外特設会場を問わず全国どころかアジアまで含めて呼べば必ず(?)やってきてくれる心意気のあるバンドなんです。
マスコミ的に話題になったのが1997年の東京大学駒場学生寮の寮風呂の浴槽をステージにした無電気ライブでした。当時、廃寮とか取り壊しで学生が「不法」に立てこもっていた場所にまで彼らは応援にやってきたのです。大学当局によって電気も止められていた寮だけにライヴはロウソクの灯りを頼りに行われたと記憶しています。
1998年のMC「ケンタウロス」のサマーパーティー(夏の全国集会?)でも、結界を張った西伊豆の黄金岬の海岸で前日から泊まり込みでライヴをやってくれました。
ライヴは朝7時からという無茶な企画で、前夜の夕食を皆で炭火でバーベキューなどしながら過ごしたのですが、メンバーの皆さんも「こんなに朝早いライヴってのも珍しいよね」と笑っていました。その横で軍手で鉄串を手にアルミホイールにくるんだジャガイモを焼き続けて「映美さん、コレ焼けましたヨ♪」とか言っていたのは僕です(笑)。
このバンドに触れればわかりますが、第一印象は「祭」だと思います。
彼らの原始的な芸能のリズムは子供から老人まで楽しめる音楽です。
そのベースには民謡や演歌や歌謡曲が流れています。そこに、ロックやジャズやレゲエや琉球民謡やアジアの音がエッセンスとして加わって賑やかなお祭りを連想させる瑞々しいサウンドが構築されています。東北訛り(秋田県酒田)丸出しのボーカルのMCなんて和みますよね。
この「上々颱風主義」(森口秀志著/1994年/昌文社)は、当時の彼らを追ったルポとインタビュー集です。
浜松の音楽通集団「やらフェス」役員会の皆さんであれば、「上々颱風」や「渋さ知らズ」や「ファンファーレ・チォカリーア」(ルーマニア)くらいは素養として先刻ご承知バンドだとは思いますが、是非“好き”にもなって欲しいなと思います。
あっ、「上々颱風」は過去何度が“浜松上陸”してますから皆さんにもお馴染みかもなぁ?
昨年、「やらフェス」の実行委員会に参加した時も、僕なんかは単純に「オール浜松みたいな強力な顔ぶれの実行委員会だから、スポンサー側からの資金はそこそこありそうだから、メインアクトは現実的な問題としてお祭り空間に似合うバンドとしては“上々颱風”とか“渋さ”でスケジュール調整が可能か図って、ソコに浜松の有力バンドをぶつけて…」みたいな1ステージ主義で考えたわけです。
15のステージのPAやステージ設置費用を、1つだけのステージに資金集中すれば、タレントのギャラくらい捻出できるかなと思ったのですが…。当初、15ステージで単純に300万円とか業者さんに提示されましたしね。
ところが、「やらフェス」首脳部の頭の中には仙台・常禅寺JSFを意識するあまり最初から多ステージ構想が強くあったのか、僕の意見などは…(笑)。
「シャンシャン」は祝いの手締め、「タイフーン」だけにアジアであれば何処でも吹き抜ける風のようなバンドです。
【上々颱風】
http://www.shangshang.jp/