渋谷の名曲喫茶でクラシックを聴く。

渋谷の名曲喫茶でクラシックを聴く。


「なんだ?ここなのかよ!?」と思わず声が出てしまったのは、それが学生時代からこれまでに何度となく歩き回ったりしたことのある場所だったからです。
お隣りは有名なロック喫茶「B.Y.G」でした(苦笑)。
横の店には打ち合わせや酒で用事があっても、横の名曲喫茶には見向きもしなかったようで、まさかソコが都内でも有名な店とも知らずに今日まで過ごしていた始末。
渋谷の名曲喫茶でクラシックを聴く。渋谷の名曲喫茶でクラシックを聴く。
昨夏、中野ブロードウェイの横道にあったはずの名曲喫茶を突然訪ねてみたくなり歩きまわったことがあります。ところが中野サンプラザの楽屋口と道を隔てた辺りの狭い路地を一本一本分け入っても目的の風景には行きつかず「潰れて新しいビルになっちゃったんだろうな」と残念な思いに駆られました。その店はドアを開けるにも、静かに開けないと上からひさしのモルタルの塊が剥げ落ちてきそうな雰囲気でした。外から覗いても店が開いているかどうかの判別もつかない薄暗さや、そもそもお客が出入りしている光景も見たことさえなく、何度か機会を躊躇しているうちに中野にあったお店は消えうせていました。
渋谷の名曲喫茶でクラシックを聴く。


渋谷の名曲喫茶「ライオン」は道玄坂をかなり上がっていって右側にある「しぶや百軒街」の看板をそのまま真っすぐです。昔のストリップ小屋の「道頓堀劇場」の前を行けばありました。丸山町のラブホ街の入口って雰囲気です。
夜から雪になった日なので、寒くて逃げ込んだはずなのに店内も寒くて最後まで愛用のモッズパーカー(M51)を脱ぐことも出来ず暫くはブルブルと凍えに耐えていました。ガスストーブが2台あってヤカンがシュンシュンと音を立てていましたが、温かい場所は心得たもので必ず先客もあるものです。床は緑色のリノリウムが貼ってあって、人が歩くと音がミシミシ鳴ったり、後ろを誰か歩くと椅子ごと揺れたりします。濃いめの珈琲は500円。
左右非対称のスピーカーは巨大な木製キャビネットに収まっていますが、スピーカーと呼ぶよりは壁のようでもあり、家具のようでもあり、お化けのようでもあり…。1曲ごとに店員さんがマイクの前で「次はリクエストの…」とボソボソと客に背を向けて喋るのですが殆ど聞き取れないくらいの説明でした。

2月のプログラム(ライオン・コンサートというらしい…)が書かれたチラシには「真のHiFi」とか「立体音響」とか「帝都随一を誇るステレオ音響完備」なんて文字が躍っていましたが、創業が1925年だそうですから宣伝文句も大時代がかっていて笑えました。
音もそれなりに昔の音でしかありませんが、聴いていて疲れない気はしました。
都会の喧噪の中で読書を楽しむ空間にはいいかなって感じです。薄暗いけれど、なんとか持参した新書(「ジプシー 歴史・社会・文化」水谷驍/平凡社)は読めました。
トイレの白壁には70安保の名残りなのか黒いマジックで「BUND」の大きな文字が幾つか躍っていました。BUND…離合集散と分派を繰り返したセクトの母体ネームです。

Jazz喫茶やRock喫茶が消えていくなか、クラシックを専門にする名曲喫茶の運命も同様です。街中から懐かしいモノたちが消えてしまう前に訪ねてみました。名曲喫茶ライオンのある路地の奥の右側にも僕の記憶では数年前まではJazz喫茶もあったはずですが既に無くなっていました。街の風景も移ろいゆくものなのです。この一角には「ヴィレッジ・ピープル」か「ヴィレッジ・ボイス」だったと思うんだけど、リヴァプール系サウンド中心の飲み屋もあったんだけどいつの間にか消えちまったな。
喫茶ライオンを出ると雨。ヤマハを見学して出ると雪に変わっていました。寒いので百軒街でラーメン食べて帰ってきました。
それなりに満足!(笑)
渋谷の名曲喫茶でクラシックを聴く。


[名曲喫茶ライオン]http://lion.main.jp/


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