1980年を疾走した幻のバンド

1980年を疾走した幻のバンド


元「白竜バンド」のキーボードだった小室哲哉君の逮捕劇もあって、改めて小室君がメジャーシーンに登場する以前の「白竜バンド」時代の音源を聴き直していました。
そんなことをしていたら昨夜はNHKのクイズ形式の教養番組で、網膜剥離
で失明寸前になった例として白竜さんがインタビューでビデオ出演されていました(笑)。
僕が学生時代に生で触れた 小室さんの演奏で強く印象で残っている曲は、セカンドアルバムのタイトル曲の「アジアン」のイントロでした。
ライブのラストかアンコールで演奏されたような気がします。
ギターのヘヴィーなリフに負けないド派手なシンセサイザー音に「すげぇ~!格好ええ~!」と会場となった某MG大の今は亡き「百番教室」の片隅で興奮していたものでした。
(どうでもいいけど、「白竜バンド」を最後に見たのは、超曖昧な記憶では83~84年頃に青山の『草月ホール』が個人的には最後でした。随分とお洒落で洗練されちゃった音になっていて肩透かしをくらった記憶があります)
1980年を疾走した幻のバンド


ちょっと、この曲の歌詞を記しておきます。
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●アジアン(8分03秒) 作詞・作曲:田 貞一(白竜)

エーヘイ エーヘイ エーヘイヨ エーヘイ……
黒くたち込めてた雲の合間から
一筋の光が今さし始める
希望の光のない暗黒の大地に
世界のスポットライトが当たり始める
時代は変わりつつある
人々は変わりつつある
世界は変わりつつある
すべてのバランスが変わりつつある
夢のカリフォルニアの幻想よ立ち去れ
俺達は今アジアを唄う
エーヘイ エーヘイ エーヘイヨ エーヘイ……

今アジアの夜明けの唄が
ヒマラヤの山波を越え
モンゴル高原を越え中国大陸を渡り
はるかかなたをパレスチナの国へと
驚くことではない時代は流れる
今こそ自分の足で大地に立つんだ
エーヘイ エーヘイ エーヘイヨ エーヘイ……
俺達は80年のパルチザンへと
戦いの準備を進める
破壊つくされたものが今あらたによみ返り
ちっぽけな暮らしの中で世界をにらむ
まだ眠りの中をさまよう者達が
今アジアの夜明けを唄うのさ
エーヘイ エーヘイ エーヘイヨ エーヘイ……

アジアン アジアン アフリカン アフリカン
アメリカン アメリカン 
ヨーロピアン ヨーロピアン

アジアン アジアン アフリカン アフリカン
アメリカン アメリカン 
ヨーロピアン ヨーロピアン
アジアン
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僕なんかは島国根性のせいなのか日本国内の事くらいにしか目が行かなかった頃に、白竜は既にアジア全体を視野や射程に置いて歌詞を作っていたって事実に改めて打たれました。
彼はアジアって大陸を汎的に希求しながら、その先のオリーブの国まで心を馳せていたわけです。
過激な歌詞でもあります。
まぁ、政治的な理由から発売中止に追い込まれたファーストアルバム「光州シティ」の後で制作されたセカンドアルバムのタイトル曲ですから、そこに込められた彼の想いは相当に熱いものがあったんだと思います。

「夢のカリフォルニアの幻想よ立ち去れ/俺達は今アジアを唄う」の力強い一節には頭をガツンと殴られた気がしました。
何かとアメリカ文化かぶれしちゃていたり、ヒッピー・ムーヴメントへの幻想に半分縛られていたような僕には衝撃的な叫びでした。
「時代は変わりつつある」とか「すべてのバランスが変わりつつある」なんて一連のフレーズも当たり前の事柄ながらも、それ故に普遍性を持って、かえって「今」に鋭く迫ってくる強さがあるといえます。

思えば、白竜の歌詞の短いフレーズに随分と勇気づけられたものです。
例えば、「誰のためでもない/自分のために生きるんだ」(by誰のためでもない)とか、「現実は地球のように/丸くはないんだよ」(by現実)とか、「暮らしの貧しさは/心の貧しさではないと」(byシンパラム)とか、「あたりさわりのないように/他人の視線を気にしながら/自分の感情押し殺し/こせこせ生きていくなんて/もうまっぴらごめんだぜ」(by始まるぜ)とか、「生意気だけども生きてやる」(by熱く生きろ)とか「机の上の議論より/僕等には他にやることがあるはずなのに」(by体を張って)と色んな強烈なメッセージが彼の曲にはありました。

この4曲入りマキシ・シングル「逆流」は現在の彼の姿だと思います。
インディーズで出された作品だと思います。
タイトル曲の「逆流」は韓国語でも歌われていますが、父親の死後に自分自身のルーツを追って玄界灘を渡り故郷へと旅をした時の曲です。
聴いていた胸を打つものがあります。
他には「白竜バンド」時代にもLPに収録されていた「アリランの唄」と「ほうせん花」もリメイクして収録していました。
1980年を疾走した幻のバンド


今年の5月に公開された「光州事件」にスポットをあてた映画「光州5・18」ですが、浜松では恐らく公開されなかったと思います。軍政下の歴史の暗部に光を当てた勇気ある告発作品だと思います。
この事件を歌っただけで、今だに「白竜バンド」の曲は葬り去られたままです。
そのくらいに日本は「不自由な国」なのです。
今でも「光州シティ」は放送禁止歌なのかなぁ?(笑)
かなり前に「外道」のCDを復刻させていた「葉隠レーベル」から「白竜バンド」の2枚のアルバムの復刻の噂も出ましたが多分実現してないよね?

【「白竜」映像】
http://jp.youtube.com/watch?v=_B7qPBG2peM
http://jp.youtube.com/watch?v=gWBd0nlJqio&feature=related
【白竜】http://www.hakuryu.com/hp/index.html
【映画「光州5・18」】http://may18.jp/


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