歴史の教訓

歴史の教訓

「国民の正当な要求を実現しうるシステムが機能不全に陥ると、国民に、本来見てはならない夢を疑似的に見せることで国民の支持を獲得しようとする政治勢力が現れないとも限らないとの危惧であり教訓です」

この一説は最近になって読み始めた3年前に出版された本(それでも、日本人は「戦争」を選んだ)の「はじめに」からの抜粋です。
過去の辛く悲しい歴史から学んだはずの私たちですから単純に歴史は繰り返すとは思いませんし、政治状況も時代状況も世界情勢も様変わりしているわけですからやっぱり単純に歴史は同じように繰り返すとも思えませんが、それでも何か似たようなキナ臭い危なっかしい感覚はつきまとう気がしてなりません。

日本が戦争へと突き進んだ要因には外交での敗北、軍部の暴走、迷走する政治家等々の様々な要素があるでしょうが、国民の熱狂が果たした側面も大きいような気がしてなりません。
新聞やラジオといったメディアの果たしたプロパガンダも国民の熱狂を醸造したでしょうし、軍部がメディアを利用した側面もあるでしょうからメディアの果たした功罪も注視すべきですが、メディア自身が妙な熱気に酔ってもいたはずです。
メディアの宣伝に熱狂へと傾斜していく国民(民衆でも言葉の置き換えはいいけど・・・)を見て、支持や販売を獲得しようとメディアも(軍部も)ますます盛んに戦争への道を走り出していった傾向はないのかなぁ?
その挙句が果てしない戦線拡大と収拾の途もない戦争指導者層の判断力の無さが多大な犠牲を生んだんだとも思います。
とかく軍部の暴走を戦争責任として捉える考え方もありますが、それを後押しし支えたのは国民のナショナリズムの熱狂だった部分も大きいような気がしてなりません。
その意味では僕たちは常にクールに世相を分析していないと再び騙されたり、危ない熱病に取りつかれちゃいかねませんからね(笑)。
くわばらくわばら!

※それでも、日本人は「戦争」を選んだ 加藤陽子著(朝日出版社)
http://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255004853/

かつて、普通のよき日本人が「もう戦争しかない」と思った。世界最高の頭脳たちが「やむなし」と決断した。
世界を絶望の淵に追いやりながら、戦争はきまじめともいうべき相貌をたたえて起こり続けた。
その論理を直視できなければ、かたちを変えて戦争は起こり続ける。
だからいま、高校生と考える戦争史講座。
日清戦争から太平洋戦争まで。講義のなかで、戦争を生きる。


※NHKスペシャルシリーズ 日本人はなぜ戦争へと向かったのか 
http://www.nhk.or.jp/special/onair/taiheiyosenso.html
※NHK出版「NHKスペシャル日本人はなぜ戦争へと向かったのか 上」(NHK取材班 編著)
いま明らかになる戦争への「本当の」道のり
https://www.nhk-book.co.jp/shop/main.jsp?trxID=C5010101&webCode=00814632011
※NHK出版「NHKスペシャル日本人はなぜ戦争へと向かったのか 下」(NHK取材班 編著)
1941年、日本にはどんな選択肢があったのか
https://www.nhk-book.co.jp/shop/main.jsp?trxID=C5010101&webCode=00814642011
※NHK出版「NHKスペシャル日本人はなぜ戦争へと向かったのか 戦中編」(NHK取材班 編著)
真珠湾後の“決定”がもたらした果てしなき戦線拡大の悲劇。
https://www.nhk-book.co.jp/shop/main.jsp?trxID=C5010101&webCode=00815112011


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