はみ出し者たちのロック映画

はみ出し者たちのロック映画


この現代社会は多様性を認めあわないことにはやっていけないはずです。
人種も宗教も文化や性別や国家体制の差異も衝突してばかりでは立ち行かないところまで
来ていると思います。だからといって狭義の意味でのグローバリズムの名の下にアメリカの
価値観だけを押しつけられるのは勘弁ですが…。
サブタイトルには「人とは違う私たちに、いつも勇気を与えてくれたのは“ヘドウィグ”」とありま
した。
昨年夏に日本では公開された映画「ヴォイス・オブ・ヘドウィグ」(2006年)のDVDです。
今週も都内では発売にあわせて同映画の上映イベントがあったようです。
最近僕が触れたドキュメント作品の中では秀作の部類に入ると思います。
ニューヨークのLGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィアの
略称)の生徒たち4名の抱える痛々しい悩みや夢や希望を追った作品です。
といっても最初の企画は、映画「ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ」の曲を様々なミュージ
シャンにカバーしてもらい、そのチャリティーアルバムの収益をLGBTQの学校(ハーヴェイ・ミ
ルク・ハイスクール)に寄付するということをある音楽プロデューサー(本業はレンタルビデオ業
らしいのですが…)が思い立ったところからスタートします。
その壮大なプロジェクトの過程と4人の生徒たちの生活をリンクさせた作品に仕上がっていま
す。曲の歌詞と4人の生徒たちの生き方が驚くほどピッタリなのにはビックリしました。
参加アーティストのレコーディング風景も興味深いものがありました。
ジョン・レノンが憑依したとしか思えないオノ・ヨーコさんとかね(笑)。

部外者ながらお節介な発言をしちゃえば、この作品なら今年の「はままつ映画祭」の1候補に
推薦したいくらいです。音楽も画面に溢れていますしね。音楽の街・浜松にはふさわしいかも。
ロックさえ貪欲に呑み込んで体制化してしまう時代ですから、少々お行儀の悪いくらいの元気
で変てこりんな異形のロックがなくちゃ困りますもん。
はみ出し者たちのロック映画はみ出し者たちのロック映画
今回、ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ・トリビュートとしてリリースされた「ウィッグ・イン・
ア・ボックス」ですが、かなり良いです。
車の中で何十回ヘビーローテーションで聴いたかわかりませんが、聴けば聴くほど沁みて
きます。参加アーティストによる曲への新しい解釈やアプローチが面白いし共感できます。
騙されたと思って映画の後で機会があったらレンタルしてでも是非聴いてみて欲しいところ
です。

音楽も「多様性」って強引に一言で括るなら、次の「やらフェス」のSEは「ヘドウィグ・アンド・
アングリー・インチ」のオリジナルと劇場用と今回の海外トリビュート盤の3枚で充分いけちゃ
うし面白いかもって感じですわ。「はままつ映画祭」とリンクしちゃえばね。
といっても俺は関係なかったり、実行委員会から抜けちゃっているわけですが…(苦笑)。
これと比べると2004年に三上博史等の国内アーティストで制作された「ヘドウィグ・アンド・
アングリー・インチ・トリビュート」CDは正直いって「眠くて…」悲しいくらいです。
ローリー寺西やみうらじゅんくらいは参加させて欲しかったよな(笑)。
特に表題曲くらいに意味のある「アングリー・インチ」をカバーした日暮愛葉とかいう奴のアレ
ンジに至っては「なんじゃこれは?」ってくらいに原曲の良さを全てズタズタに切り捨てたか
のようなに出来で聴くに耐えなかったです。

おととい、レンタルしてきたアニメ「ゲド戦記」ってのを観たけど初見では共感できなかったなぁ。
スタジオ・ジブリにも失敗作も駄作ってのもあるんだろうな。

[映画「ヴォイス・オブ・ヘドウィグ」公式サイト]
http://www.uplink.co.jp/voiceofhedwig/


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