歌の背景に流れるもの…(中編)

歌の背景に流れるもの…(中編)


またぞろ4年前の毎日新聞の特集記事「戦後60年~もういちど聴きたい平和のうた」の南こうせつさんの「神田川」にまつわる記事など持ち出してきて読み返しています。

考えてみたら、僕の学生時代も目黒区内の木造モルタル塗り四畳半のアパートの2階からスタートした気がします。
当然、トイレは共同で、風呂なんかなくて、近くの銭湯に時々通っていました。西日もきつくて、スダレをかけて、扇風機でこらえていましたっけね。
中廊下だったから風も抜けなくてね。
さながら、松本零士の漫画「男おいどん」の世界を地で行く雰囲気でした(笑)。
ワンルームマンションなんて代物も、1980年代中期になって、その頃僕が住んでいた品川区内の6畳間のアパート(トイレはあったが風呂はなし!)近くに建設計画が持ち上がった時に、「ワンルームマンション建設反対!」みたいな張り紙や幟がいっぱい立って、「なんだ?ワンルームマンションって、家賃が高そうなそんなものには俺には縁はないけれど、そんなに物騒なものなのか?」と思ったことがあったくらいです(笑)。
あの頃、風呂付の部屋に住むのは憧れだったもんなぁ~。
それに隣の部屋との壁が厚くて、横の部屋の物音が聞こえないような部屋とかもね。ボーナスで秋葉原のラオックスで買ってきたコンポのステレオを鳴らそうにも、ちょっとボリュームをあげると「うるさい!」とばかりにお隣の住民から壁をドンドンと叩かれたりしたもんな(苦笑)。

この記事と「神田川」の作詞をされた喜多條忠さんの歌詞もジックリと読みなおしてみました。
不勉強のため1974年に出版された小説「神田川」(喜多條忠著:新書館)のことも、今になって知りました(笑)。
こ、こ、これは時代背景を知る上でも古本屋からでも取り寄せてでも読んでみないといけませんね。
「そういえば、レンタルビデオ屋に関根恵子と草刈正雄主演の『神田川』もあったと思うけど、あの映画には立派な原作があったのか!?秋吉久美子主演の『赤ちょうちん』は借りてきて観たことあるけど、こりゃ抜かったわ!」と初めて知った次第です。ダメだな…やっぱり…とほほ。
歌の背景に流れるもの…(中編)


曲の「神田川」は同棲中の女性の視点で描かれていますが、手元にある「神田川・断章」という喜多條さんの最近の短編小説(2004年刊「会うたびに忘れないでといってた君がサヨナラといった-。」に収録)では、男性側の視点で描かれていました。
こうなってくると小説「神田川」の存在がますます気になってきます(笑)。
「ただ貴方のやさしさが怖かった」と歌詞では語り、新聞記事に寄せたコメントでは「あのころの男の優しさって優柔不断と同じで」と語っていました。

作詞家の喜多條さんは早稲田大を中退して放送作家を経て作詞家への道を歩んだとプロフィールにありました。
名曲「神田川」の詩が生まれた時もラジオ局で放送作家をしていて南こうせつさんと出会ったそうです。
学生時代の喜多條さんは「僕もデモには時々行きましたよ。ベトナム戦争、学費値上げ反対――。憎悪と怒号。完全武装した機動隊は青いカブト虫のような最強の集団で、スクラムを組んだ僕らはダンゴ虫でね。催涙弾を浴びて蹴られ殴られ……一瞬、命なんか惜しくないと思うんです。でも、下宿に逃げ戻ると一緒に暮らしていた女の子がご飯を作って待っている。その後ろ姿を見ていると、平穏な日常に埋もれて自分を見失い、僕の中の何か大切なものが壊れてしまいそうで怖かったんです」と新聞記事に寄せたコメントで“自らの青春を総括”していました。
そんなディティールで書かれたのも「神田川・断章」という短編小説でした。
多分に自叙伝的な小説だってことは読んでいてわかりました。
同棲中の彼女の住む神田川沿いのアパートの部屋の電気が見える橋の上で「戻りたい…戻れない」と自悶する喜多條さんの姿と、ずっと待ち続けている彼女の姿を想像すると泣けてくるものがあります。
若さゆえ幼さゆえに、うまくいかなかった関係ってありますもんね(苦笑)。
やっぱり、手始めに映画「神田川」でも借りてくるか…(笑)。あははっ!

新聞記事で知ったのは、南こうせつさんと喜多條忠さんの最初の作品が「マキシーのために」だったこともありました。
この曲は、てっきりフーテンかヒッピーみたいな自由さを持ち合わせたマキシーというニックネームの子の睡眠薬自殺を歌った曲かと思っていました。
ところが最初の原題は「ピラニアのために」だったそうなんです。
喜多條さんの知り合いに「ピラニア」というニックネームの女の子がいて、そのネーミングの由来も「機動隊に食らいついたら離さない」って猛者ぶりから付いた名前のようで、全共闘活動家だったらしく東大の安田講堂に籠城して逮捕され、釈放後に睡眠薬を100錠飲んで、渋谷の道玄坂で倒れた実話だったんだそうです。
理想に燃えた若者が現実という化け物に押し潰されていく姿とでも言うべきでしょうか…。悲しい物語です。そんな背景がある曲とは知りませんでした。
そんな風に、曲が描かれた背景を知ってしまうと、おいそれと軽い気持ちで歌うことなど出来なくなってしまいそうですが、せめて、そんな背景の存在を踏まえて歌うことにしようかなと思う私です。はい…。

南こうせつさんって、人なつっこい農家のおいちゃん風の笑顔のイメージですが、あの眼鏡の奥の目は笑ってない気がしてなりません。
いつも真顔なんですよね。
毎年、広島の原爆投下の日に教会で歌っているそうですし、あの飄々とした態度の奥には「日本をどうするんだ?政治家たちはどこに導くつもりだ?」って鋭い視線があるような気がしてなりません。

【南こうせつ】http://www.kosetsu.com/
【かぐや姫「神田川」】
http://www.youtube.com/watch?v=pB0cPWR2OYA&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=najWahsLqro
【南こうせつとかぐや姫「マキシーのために」】
http://www.youtube.com/watch?v=SMrCexfkWU0&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=UUpd74dgiDA&feature=related
【南こうせつ「マキシーのために」】
http://www.youtube.com/watch?v=5b3yQv8wi_Q
【かぐや姫「赤ちょうちん」】
http://www.youtube.com/watch?v=wwxJuoaG2p8&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=wWSCg-UKzY8&feature=related
…………………………………………………………………………………………
≪個人的に興味のある今年の各地のフォークなコンサート≫】

☆1月24日(土)終了→「ミュージックジャンボリーin大竹」(広島県大竹市)
【「メローイエロー」さんのHP(広島県)】
http://www.geocities.jp/tetora1952/
☆2月22日(日)終了→「たどり着いたらいつも風街♪」新春ライヴ(東京・銀座)
☆3月15日(日)終了→「美川ムーバレー・フォークジャンボリー」(山口県岩国市)
【music cafe「岩国フォークソング」】http://blog.livedoor.jp/iwakunifolk/
☆4月18日(土)→「NIIGATAフォークジャンボリーmini」(柏崎)
http://plaza.rakuten.co.jp/folkjamboree/
☆4月26日(日)→ 「フォークDayキャンプリー」(名古屋市・鶴舞公園) 
☆5月10日(日)→「NIIGATAフォークジャンボリーmini」(三条市)
★5月23日(土)~24日(日)→「青春ing・・・ライヴ」in 犬山キャンプ場
★6月6日(土)~7日(日)→那須ギター温泉合宿(NPO戦うオヤジの応援団)
★7月19日(日)~20日(月)→第9回「フォークキャンプリー」(岐阜県八百津町)【フォークキャンプリー実行委員会】http://www.geocities.jp/folk_camply/index.html
★7月19日(日)~20日(月)
→「高蔵寺フォークジャンボリー公開オーディション」(春日井市)
※7月26日(日)→浜名湖フォークジャンボリー事前ミーティング
★8月1日(土)→40年ぶりに伝説の「中津川フォークジャンボリー」復活!
「椛の湖(はなのこ)フォークジャンボリー2009」(岐阜県中津川市)
http://jamboree09.exblog.jp/
★8月30日(日)→第2回「みちのくフォークジャンボリー2009」(仙台・秋保森林公園)
★9月12&13日→第6回「浜名湖フォークジャンボリー2009」
http://hamanakofolk.web.fc2.com/
【浜名湖FJ事務局長「KAZのバンド遍歴」HP】http://kazfolk.web.fc2.com/
【HFJ事務局KAZさんの「フォークソングな日々」】http://hfj06.hamazo.tv/
★9月22日(祝日)→第2回「NIIGATAフォークジャンボリー2009」 http://plaza.rakuten.co.jp/folkjamboree/
【新潟市在住の石田さんご夫婦デュオ「Kazmin'.com」さんのブログ】
http://kazmindotcom.blog50.fc2.com/
★9月27日(日)→「たどりついたらいつも風街♪」おーたむライブ
【フォーク酒場「風街ろまん」(新宿区四ツ谷)】http://www.kazematiroman.ecnet.jp/
★10月11日(日)→「高蔵寺フォークジャンボリー」(愛知県春日井市)
http://www.0568kasugai.net/~expanet/

※2010年度の予定
★9月18日~10月31日→「ミュージックジャンボリーin広島」開催予定?(6会場?)
【「メローイエロー」さんのHP(広島県)】http://www.geocities.jp/tetora1952/
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
【NPO「戦うオヤジの応援団」(登録1119名)】http://tatakauoyaji.com/

※浜名湖フォークジャンボリーやってる浜松って街を全国に広く知ってもらおう♪
【浜名湖ガーデンパーク】http://www.pref.shizuoka.jp/hg-park/
【浜松市】http://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/
【浜松観光コンべンションビューロー】
http://hamamatsu-daisuki.net/hamacon/
【浜名湖かんざんじ温泉】http://www.kanzanji.gr.jp/


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この記事へのコメント
この「マキシーのために」の秘話については、
例の「幕張ニアミス事件(笑)」のあった日・・・

2/14の東京フォークフェスティバルで、おいちゃん自らがMCで語っておられました。

最初に手渡された歌詞は「ピラニア」のままだったそうです。
さすがに、「ピラニア」では歌にできない・・・ってことで
「マキシ―」に落ち着いたんだとか・・・。
彼女がマキシ・スカートをいつもはいてたんだったかな~・・・
ちょっとその辺の記憶が定かではないのですが。

その後でおいちゃんが歌った「マキシーのために」は、
おいちゃんのギターに、フィドル、ウッドベース、キーボードという編成

我々がよく知っているあのリズミカルな「それ」とは違う
なんとも、もの悲しい「マキシーのために」でしたよ。
Posted by 石ちゃん@NFJ at 2009年05月22日 16:35
東京フォークフェスティバル?
そんなのもあったんですか?知らなかった…。
幕張から、ソッチへ移動していたんですね。

マキシスカート…丈が長くて、まきつけるようなスカートが流行った時代もありましたわね。納得!
Posted by 放課後倶楽部放課後倶楽部 at 2009年05月24日 08:01
その数年後、ジーンズの生地で丈はマキシでエスカルゴってスカートがありました。
Posted by Mellow's ケンタ at 2009年05月24日 10:17
なんでも諸先輩方は詳しいなぁ~♪
広島ケンタ様が教えてくれた「エスカルゴ」って名称は初めて知りましたが、確かにデ二ム地の重ったるそうなロングスカートってよく見た気はします。
そんな名称があったとは…。
Posted by 放課後倶楽部放課後倶楽部 at 2009年05月25日 04:49
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